犬の食べ物

犬に鹿肉を与えるメリットとは?デメリットは何?

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愛犬の食事に、高タンパク質・低脂肪な鹿肉を取り入れてみませんか?鹿肉は、犬にとって理想的な食材の一つと言われています。この記事では、鹿肉を与えることで得られるメリットやデメリット、与える際の注意点について詳しく解説します。

犬に鹿肉を与えるメリットとは

犬に鹿肉を与えるメリット

犬に鹿肉を与えると、どんなメリット・効果があるのか見ていきましょう。


「鹿肉」は、牛肉や豚肉と比べて高タンパク質・低脂肪なお肉なので、ダイエット中の犬や運動量の多い犬に最適な食材として人気が高まっています。

しかし、その魅力はそれだけではありません。ここでは、鹿肉を与えることで得られる6つの驚くべきメリットをご紹介します。

メリット1. 高タンパク質・低脂肪で理想的な体作りをサポート

鹿肉は、牛肉や豚肉に比べてタンパク質が豊富で、脂肪分が少なくヘルシーなのが特徴です。そのため、ダイエット中の犬や運動量の多い犬にとって、理想的な体作りをサポートする食材と言えます。タンパク質は筋肉や骨の形成に不可欠な栄養素であり、運動量が多い犬はより多くのタンパク質を必要とします。一方、脂肪分の少ない鹿肉は、カロリーを抑えながらもしっかりと栄養を補給することができます。

そのために鹿肉は、高齢犬の健康維持に役立つ栄養価の高い食材です。高齢犬は若い犬と比べて筋肉量が減少し、50%も多くのタンパク質が必要となります。食事から十分なタンパク質を摂取しないと、筋肉の衰えや免疫機能の低下などの悪影響を招きやすくなります。

そこで、高齢犬の食事には、タンパク質から得られるカロリー量の25%を含めることが重要です。鹿肉は高タンパク質・低脂肪な食材であり、まさに高齢犬に最適な食材と言えるでしょう。

参考文献:ペットフードの安全性:食事性タンパク質:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18656844/

Pet food safety: dietary protein

メリット2. アレルギー体質の犬にも安心

牛肉や豚肉などの主要なアレルゲンを含まない鹿肉は、アレルギー体質の犬でも安心して与えることができます。もちろん、すべての犬に安全であるとは限りません。個体差によってはアレルギー反応を示す場合もありますので、初めて与える場合は少量から様子を見ながら与え、問題ないようであれば徐々に量を増やしていくようにしましょう。

メリット3. 貧血予防に効果的な鉄分を豊富に含む

鹿肉は、貧血予防に効果的な鉄分を豊富に含んでいます。鹿肉の鉄分は、牛肉の1.4倍、鶏肉の2倍です。
鉄分は、酸素を運搬するヘモグロビンを作るために必要な栄養素です。貧血になると、酸素が全身に行き渡らず、元気がなくなったり、疲れやすくなったりなどの症状が現れます。鹿肉を食事に取り入れることで、愛犬の貧血予防に役立てることができます。

メリット4. 心臓の健康を守るタウリンを含む

タウリンは、心臓の健康維持に欠かせない栄養素ですが、犬は体内で合成することができません。そのため、食事から摂取する必要があります。鹿肉は、タウリンを含んでいるため、心臓の健康をサポートします。一般的に赤身肉のタウリン含有量は約30〜50 mg/100gとされています。特に、心臓病のリスクが高いシニア犬や、活動量の多い犬にとって重要な栄養素です。

メリット5. 野生の鹿肉だから安心・安全

鹿肉は、飼育された家畜とは異なり、野生の鹿から採れた肉です。そのため、抗生物質やホルモン剤などの薬剤を使用しておらず、安全性の高い食材と言えます。また、野生の鹿はストレスフリーな環境で育っているため、肉質も柔らかく、犬にとっても食べやすいのが特徴です。

メリット6. アセチルカルニチンがたくさん含まれている

赤い肉ほどアセチルカルニチンがたくさん含まれているとされています。特に鹿(シカ)肉に多く含まれる「アセチルカルニチン」はアミノ酸の一種で、脳機能向上やストレス軽減、疲労回復の効果があると報告されています。

鹿肉だけアセチルカルニチンが含まれているわけではありませんが、馬肉や牛肉、羊肉などよりも、鹿肉に含まれるアセチルカルニチン量はダントツの多さです。部位によって多少異なりますが、他の肉と比較すると、おおよそ次のような量になります。

鹿肉:117.4mg/100g
牛肉:60mg代/100g
羊ラム肉:49mg
馬肉:約58mg
ダチョウ:約70mg

参考資料:https://jissen.repo.nii.ac.jp/record/1008/files/KJ00005830257.pdf

  • アセチルカルニチンは、脂肪酸をミトコンドリアに運び、そこでエネルギーに変えるプロセスを助けます。これにより、体内のエネルギー生成が効率的に行われます。
  • 脳の健康に寄与し、認知機能をサポートします。研究によれば、ALCはアルツハイマー病やその他の神経変性疾患の進行を遅らせる可能性があります。また、記憶力や学習能力の向上にも役立つとされています。
  • 抗酸化物質としても作用し、細胞を酸化ストレスから守ります。これにより、細胞の健康維持や老化の進行を遅らせる効果が期待されます。
  • 運動能力を向上させることが示されています。脂肪の燃焼を促進し、筋肉のエネルギー供給を助けるため、運動中の疲労感を軽減し、持久力を高める効果があります。
  • 心血管系の健康にも良い影響を与えます。脂質代謝を改善し、動脈の硬化を防ぐ効果があるため、心臓病や脳卒中のリスクを低減する可能性があります。

犬に鹿肉を与える際のデメリット

鹿肉は、その低カロリーかつ高タンパク質の特性から、犬の食事において注目される食材です。

しかし、鹿肉を犬に与える際には、以下のデメリットがあります。

犬に鹿肉を与えるデメリット

デメリット1. 入手困難

鹿肉は牛肉や豚肉に比べて入手が難しいです。鹿肉は基本的に野生の鹿を捕獲して得られているからです。

デメリット2. 価格が高価

鹿肉は、牛肉や豚肉に比べて高価な食材として知られています。その理由は、主に以下の5つが挙げられます。

2-1. 捕獲量の少なさ

牛肉や豚肉は、家畜として飼育・繁殖されていますが、鹿肉は基本的に野生の鹿を捕獲して得られます。日本では、年間約10万頭の鹿が捕獲されていますが、これは牛肉の年間消費量の約0.2%に過ぎません。

2-2. 処理・流通コストの高さ

鹿は、牛や豚に比べて体が小さく、枝肉歩留まり(食肉として利用できる部位の割合)が低いため、処理にかかる人件費や設備費が高くなります。また、流通に関しても、専門の流通業者が少ないため、コストが高くなります。

2-3. 希少価値

鹿肉は、牛肉や豚肉に比べて流通量が少なく、希少価値の高い食材として扱われています。近年、ジビエ料理の人気の高まりにより、鹿肉の需要が高まっていることも価格上昇の一因となっています。

2-4. 地域格差

鹿肉の価格は、地域によって大きく異なります。捕獲量が多い地域や、ジビエ料理の文化が根付いている地域では比較的安価ですが、捕獲量が少ない地域や、ジビエ料理があまり食べられない地域では高価になります。

2-5. 部位による価格差

鹿肉は、部位によって価格が大きく異なります。一般的に、ロースやヒレなどの希少部位は高価で、スネ肉やモモ肉などの部位は安価です。

デメリット3. 寄生虫や病原体のリスク

生の鹿肉には寄生虫(例えば、トリヒナやエキノコックスなど)や病原体(例えば、サルモネラ菌やリステリア菌)が含まれている場合があります。

生の鹿肉を食べた後に肺吸虫症を発症した犬

去勢された6歳の雄のキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、体重10.4kg、ボディコンディションスコア3/5は、かかりつけの獣医師により再発性気胸と診断されました。ところが、その後の組織病理学的検査で肺吸虫症であることが判明したものです。

原因は、シカ肉の摂取による犬の肺吸虫症です。飼い主が4か月前にジビエ料理として購入していた北海道産の生の鹿肉を犬に与えていたことが原因です。

このようなリスクもありますので、鹿肉は生では絶対に与えないようにしましょう。

参考文献:A case of a dog with paragonimiasis after consumption of raw deer meat:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10209464/

を食べた後に肺吸虫症を発症した犬の症例

デメリット4. 腎臓病を患っている犬には不向き

腎臓病を患っている犬には、高タンパク質の食材が推奨されないことが多いです。鹿肉はタンパク質が豊富であるため、腎臓に負担をかける可能性があり、獣医師の指導のもとで適切な食事管理が求められます。

鹿肉の保存と解凍方法

鹿肉の保存と解凍方法

冷凍保存

  • 鹿肉は調理するまで冷凍保存する必要があります。
  • 適切に包装またはパッケージされた鹿肉は、冷凍庫で9~12ヶ月間保存できます。
  • 品質の劣化を防ぐため、解凍した鹿肉は絶対に再冷凍しないでください。

解凍方法

  • 鹿肉は必ず冷蔵庫または電子レンジで適切に解凍してください。
  • 電子レンジで解凍した鹿肉はすぐに使用できます。
  • 冷蔵庫で解凍した鹿肉は、調理して食べるまで2~3日間保存できます。

その他

  • 冷凍していない鹿肉は冷蔵庫で40°F以下(4.44444℃)で保存し、2~3日以内に調理してください。
  • 生の鹿肉は、他の調理済み食品や食材との交差汚染を避けるために、冷蔵庫で別々に保管してください。
  • 肉汁が他の食品に垂れないように、生の肉は冷蔵庫の下段に保管してください。

参考文献:PROPER HANDLING AND COOKING OF VENISON:https://www.mda.state.mn.us/food-feed/proper-handling-and-cooking-venison

PROPER HANDLING AND COOKING OF VENISON

鹿肉の与え方

鹿肉の与え方

鹿肉は細菌や寄生虫に汚染されている危険性があるため、犬に生の鹿肉を与えることは決してしないでください。

鹿肉は、焼いたり、茹でたりして加熱して与えましょう。加熱することで、より安全に与えることができます。焼く場合は、表面に焦げ目がつくまでしっかりと焼いてください。そして内部は 165°F (73.8℃)になるまで焼いて細菌を確実に死滅させましょう。

参考文献:鹿肉の適切な取り扱いと調理:ミネソタ州農務省(https://www.mda.state.mn.us/food-feed/proper-handling-and-cooking-venison

茹でる場合は、沸騰したお湯に入れ、色が変わるまで茹でます。加熱した鹿肉は、冷ましてから与えてください。

犬に与えてよい鹿肉の量

犬に鹿肉を与えてよい量は体重の1%ほどと言われています。
体重1kgですと10gです。3kgなら30g、5kgなら50gという具合です。

ただし、鹿肉はアレルギーは少ないとされていますが、初めて鹿肉を与える場合には、少量にして愛犬の様子を見てください。大丈夫でしたら、徐々に増やしてみましょう。

犬に鹿肉を与える際の注意点

犬に鹿肉を与える際の注意点

犬にとって栄養満点な鹿肉ですが、与え方によってはいくつかの点に注意する必要があります。愛犬に安全に鹿肉を与えるために、以下の点を守りましょう。

1. 与えすぎない

鹿肉は高タンパク質・低脂肪な食材ですが、与えすぎると以下のような健康リスクがあります。

  • 腎臓への負担: 腎臓病の犬や、腎臓機能が低下している老犬の場合、過剰なタンパク質摂取は腎臓への負担となり、病状を悪化させる可能性があります。
  • 尿路結石: タンパク質の代謝産物である尿素が増えると、尿路結石のリスクが高まります。
  • 肥満: 運動量が少ない犬や、すでに肥満傾向にある犬の場合、高カロリーな鹿肉を与えすぎると肥満を助長する可能性があります。

2. 消化不良

鹿肉は牛肉や豚肉よりも脂肪が少なく、消化吸収しやすい食材ですが、犬によっては消化不良を起こすことがあります。 特に、一度に大量の鹿肉を与えると、消化不良により下痢などの症状を示す場合があります。

3. アレルギー

鹿肉は比較的アレルギー反応が出にくい食材ですが、まれにアレルギーを発症する犬もいます。 愛犬に鹿肉を与える際は、少量から様子を見ながら与え、アレルギー反応が出ないか確認することが大切です。 アレルギー反応の症状としては、痒み、発疹、脱毛、下痢、嘔吐などが挙げられます。

4. 生肉を与えるリスク

鹿肉は生で与えることもできますが、食中毒のリスクがあります。 生肉を与える場合は、衛生面に十分注意し、新鮮なものを使用する必要があります。 具体的には、以下のような点に注意しましょう。

  • 信頼できる販売者から購入する
  • 調理器具や包丁をしっかりと消毒する
  • 生肉を触った後は必ず手を洗う
  • 解凍後はすぐに与える

5. 嗜好性

すべての犬が鹿肉を好むわけではありません。 愛犬が鹿肉を食べてくれない場合は、無理に与える必要はありません。 他の種類の肉や、鹿肉ドッグフードを与えることもできます。

まとめ

愛犬の健康に役立つ食材として近年注目されているのが鹿肉です。高タンパク質・低脂肪で、犬にとって理想的な食材の一つと言われています。この記事では、鹿肉を与えることで得られる効果と、与える際の注意点について詳しく解説しました。

鹿肉を与えるメリット

  • 高タンパク質・低脂肪: 鹿肉は牛肉や豚肉よりもタンパク質が豊富で、脂肪が少ないため、肥満犬やダイエット中の犬にもおすすめです。
  • 必須アミノ酸をバランス良く含む: 犬にとって必須のアミノ酸をバランス良く含んでおり、筋肉や皮膚、被毛の健康維持に役立ちます。
  • 鉄分やビタミンB群が豊富: 貧血予防やエネルギー代謝の促進に役立つ鉄分や、ビタミンB群を豊富に含んでいます。
  • 消化吸収しやすい: 牛肉や豚肉よりも脂肪が少ないため、消化吸収しやすく、胃腸が弱い犬にもおすすめです。
  • 嗜好性が高い: 多くの犬が鹿肉を好んで食べます。

鹿肉を与えるデメリット

  • 高価: 牛肉や豚肉よりも高価な食材です。
  • 入手困難: 牛肉や豚肉ほど広く販売されておらず、入手が困難な場合があります。
  • 与えすぎると下痢を起こす: 高タンパク質であるため、大量に与えすぎると下痢などの消化不良を起こす可能性があります。
  • アレルギー: まれにアレルギー反応を起こす犬もいます。
  • 生肉を与えるリスク: 生で与える場合は、食中毒のリスクがあります。
ペットフードアドバイザー・ゆずりん

私が子どもの頃、犬を飼い始めたのはペットフードがまだ広く普及していない時代でした。その当時、私の近所では多くの人が犬にご飯に味噌汁をかけたものを食べさせていましたので、私もそれを見て同じようにしていました。しかし、その犬たちが短命だったのは、後になって理解したことですが、塩分の過剰摂取、タンパク質の不足、及び栄養バランスの不備が原因であったと考えられます。このような個人的な経験を通じて、ペットフードや犬の健康に関する知識を深めてきました。この知識を生かして、私は記事を書き、それをオンラインで共有しています。

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