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犬に炭水化物は必要?それとも不要?適切な量ならいいの?

      
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炭水化物は、犬の食事における三大栄養素(タンパク質、脂肪と共に)の一つです。犬は炭水化物を必要としないという意見もありますが、実際には、エネルギー源として重要であり、ビタミン、ミネラル、繊維を提供しています。

例えば、犬に炭水化物は不要であると考えている人で、穀物不使用=グレインフリーのドッグフードを選択しています。しかし、これはおかしなことです。なぜならば、グレインフリーのドッグフードには、サツマイモやジャガイモ、エンドウ豆などがかなりの量で配合されています。これらは、炭水化物を多く含む食品です。グレインフリーは、炭水化物のうち、穀物のみ不使用であるので、混同されていると思われます。

さて、このページでは、炭水化物の基本、働き、ペットフードへの表記について、犬の1日に必要なカロリーの計算方法や計算アプリについて詳しく解説します。

炭水化物って何?

炭水化物って何でしょうか。炭水化物は、糖質+食物繊維をあわせたものです。言い方を変えれば、炭水化物は、大きく分けると、糖質と食物繊維に分けられます。

そのうちの糖質が小腸から血液中に吸収され、一部は肝臓に貯蔵されます。その後全身に送られ体を動かしたり脳を働かせるエネルギー源として利用されます。

犬が食べれる炭水化物が含まれている主な食品

米、小麦、玄米、とうもろこし、野菜、イモ類、豆類などです。含まれている炭水化物の量を表にしてみました。

食品成分エネルギー炭水化物重量
小麦粉/薄力粉/1等349 kcal75.8 g100 g
玄米346 kcal74.3 g100 g
白米342 kcal77.6 g100 g
さつまいも126 kcal31.9 g100 g
インゲン豆280 kcal56.4 g100 g
とうもろこし89 kcal16.8 g100 g
かぼちゃ10.9 kcal41 g100 g
にんじん35 kcal9.3 g100 g
参考データ:食品成分データベース/日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

炭水化物の分類

先ほども記述したように、炭水化物は分類すると、「糖質」と「食物繊維」に分けられますが、さらに糖質は以下のよう単糖類、少糖類、多糖類に分類されます。

炭水化物は、大きく分けると、糖質と食物繊維に分けられます。さらに糖質は、単糖類、少糖類、多糖類に分類できます。単糖類は吸収が早く、多糖類はゆっくり吸収されます。

上に示すように、果糖やブドウ糖などの単糖類は吸収スピードが早いです。一方で、でんぷんなどの多糖類はゆっくりと吸収されます。吸収スピードが早い果糖やブドウ糖などは血糖値を急激にあげるので注意してください。

エネルギーとして使う栄養素の優先順位

炭水化物は、エネルギーを産生してくれる栄養素と述べました。この点はタンパク質脂質も同じです。そこであなたはこのような疑問が浮かんできませんか?

Q
「炭水化物、タンパク質、脂質は同時にエネルギーとして利用されるの?」それとも「優先順位があるの?」
A

エネルギーとして使う栄養素の優先順位は糖質>脂質>タンパク質の順となっています。つまり、炭水化物がいち早く使われるのです。

  • 炭水化物炭水化物は犬の体内で最も簡単にエネルギーに変換される栄養素です。 普段の活動や運動時に使われる主要なエネルギー源です。 犬は炭水化物を消化しやすく、急速にエネルギーに変換できるため、運動前や日常の活動時に効果的に利用されます。
  • 脂質:炭水化物が使い切られた後、長時間の運動や持続的なエネルギーが必要となった。その場合、犬の体は脂質をエネルギーとして利用します。脂質は炭水化物よりも多くのエネルギーを提供できるため、長距離走や持久力を必要とする活動に向いています。また、脂質は犬の皮膚や被毛を健康にしビタミンの吸収もサポートします。
  • タンパク質:タンパク質は主に体の組織や筋肉の修復や成長に使われます。 一般的に犬はエネルギーとしてタンパク質を使うことは少ないです。されど、とんでもない飢餓状態の場合や、炭水化物や脂質が不足した場合に制限されてエネルギー源として利用されることがあります。

犬も炭水化物によって太りますか?

炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせたものと説明しましたが、この糖質を摂りすぎると余計な脂肪分として蓄えられますので、肥満の原因となります。炭水化物の摂り過ぎを防ぎ、健康的な体重を維持するためには以下のような方法があります。

犬の肥満を防ぐ方法

  1. 適切な食事の選択:
  2. 食事量の管理:
    • 犬に与えるドッグフードの量は、その種類、年齢、活動レベル、健康状態に適合している必要があります。獣医師と相談して、適切な食事量を決定します。
  3. 定期的な運動:
    • 犬に定期的に適度な運動をさせることは、過剰なカロリーを消費し、健康的な体重を維持するのに役立ちます。
  4. 間食の管理:
    • おやつや人間の食べ物の与えすぎに注意し、必要であれば量を制限します。犬用の低カロリーなおやつを選ぶことも有効です。
  5. 栄養素のバランス:
    • タンパク質、脂肪、炭水化物のバランスがとれた食事を提供することが重要です。一方の栄養素に偏らないようにします。
  6. 定期的な健康チェック:
    • 定期的な獣医師による健康チェックを行い、体重管理や栄養のアドバイスを受けることが大切です。
  7. 食事の記録:
    • 犬の食事と運動の記録をつけることで、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを見極めやすくなります。

これらの方法を通じて、犬の食事における炭水化物の摂り過ぎを防ぎ、健康的な体重管理を行うことができます。犬の健康について不安がある場合は、常に専門の獣医師に相談することが最善です。

ドッグフードには炭水化物が表記されてない?

成分表示
ドッグフードの成分表示

ドッグフードの表記を見ていただくとわかりますが、驚くべきことにラベルに炭水化物という文字の記載はありません。なぜならば、ペットフードの表示に関する公正競争規約において、次の五大成分においては表示義務がありますが、それ以外は必須でないからです。

ドッグフードの成分表示義務

① タンパク質

チキンミール、トリ肉(チキン、ターキー)、イワシ、アジ、鶏レバー、マグロ、鹿肉など

② 脂質

鶏脂、亜麻仁油(フラックスシード)、ココナッツ油、サーモン油、キャノラー油など

③ 粗繊維

「粗」という漢字は粗末とか粗雑という使いかたをするので、あまり良い意味で使われていません。ですが、粗繊維についてはそのような意味ではありません。

食物繊維だけでなくその他のケラチンなどの繊維も含まれているため粗繊維とされています。粗繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類を合計した割合です。

ほとんどのドッグフードでは割合が4%以下です。この数字はとても大事です。なぜならば粗繊維の多いペットフードを与えると便の回数が多くなったり、健康を害したりすることもあるからです。したがって健康を保つために注意が必要です。

例えばペットフードで使用される粗繊維の食品としてビートパルプ、フスマ、脱脂米ぬか、玄米、さつまいもなどがあります。

④ 灰分

主にミネラルのことをいいます。たとえばカルシウム・ナトリウム・リンなど。

⑤ 水分

水分は、一般的にドライフードにおいては10%以下です。

このように5大成分については記載されています。しかし、炭水化物は必須ではないため表記されていません。これでは、ドッグフードに一体どのくらいの炭水化物が含まれているのかわかりません。そこで、次の計算式によりおおよその算出が可能ですのでご紹介します。

ドッグフードにおける炭水化物の量の計算式

炭水化物の計算式:100-(タンパク質+脂肪+繊維+灰分+水分)=炭水化物(%)

ドッグフードの炭水化物の量の計算事例

先ほどの式を使って計算してみましょう。

とあるドッグフード(小型品種、推奨年齢8か月~6年)の素材構成は、タンパク質28.0%以上、脂質18.0%以上、粗繊維5.0%以下、水分10.0%以下、灰分10.0%以下と記載されています。

こちらを式にあてはめると、100-(28+18+5+10+10)=29%、その結果、炭水化物は29%と算出されます。

また別の事例で見てみましょう。②ドッグフード(成犬 小粒 1~6歳まで)、たんぱく質19.0%以上、脂質13.0%以上、粗繊維3.0%以下、灰分6.0%以下、水分10.5%以下と記載されています。

100-(19+13+3+6+10.5)=48.5%、従っておおよそ48.5%が炭水化物と計算できます。

このように見てみますと、①と②ではだいぶ炭水化物の量が違っています。要するに②のほうがタンパク質よりも炭水化物が多いペットフードだとわかります。この点は袋に記載されている原材料を見れば一目瞭然です。

記載順が、トウモロコシ、小麦、トリ肉(チキン、ターキー)、大豆となっています。この順番は多い順に記載されますので、一番多い成分としては炭水化物のトウモロコシ、次いで小麦、トリ肉は3番目なので炭水化物中心のドッグフードであることがわかります。

粗繊維は〇%以下と記載されています

見てわかるように、成分により〇〇%以上とか〇〇%以下というように記載されます。具体的には粗繊維については、〇%以下というように記載されます。「〇%以下であることを保証します、〇%以下の含有ですよ」という意味で「成分保証」記載になっています。

犬に炭水化物は本当に不要?

犬にとって炭水化物は「絶対に必要」というわけではありませんが、「完全に不要」というわけでもありません。その理由として、炭水化物が含まれていないドライドッグフードは見当たりません。すべてのドッグフードを調べることはできませんが、調べた限りでは、にんじんや玄米、インゲン豆などの炭水化物が含まれています。

さらに、炭水化物について深堀りしたところ、FEDIAF(European Pet Food Industry Federation)の文書「犬と猫の食品における炭水化物」が見つかりました。

こちらによりますと、「炭水化物は動物細胞にとって最も重要なエネルギー源であり、特に脳などの組織にとって主要なものである。また、犬は、狼と同じ食物を食べるべきだという一部の見解がありますが、調理したデンプンを消化できることが研究によって示されている」と書かれています。

犬の食事における炭水化物の役割は複雑で、以下の点を考慮する必要があります。

  1. 生物学的ニーズ: 犬は肉食動物の祖先から進化してきましたが、家畜化の過程で様々な種類の食物を消化する能力を発達させました。犬は、厳密に言えば、炭水化物を生存に必要とはしませんが、良質な炭水化物は健康的な食事の一部となり得ます。
  2. エネルギー源として: 炭水化物はエネルギー源として機能し、適切に管理されれば、犬の活動的なライフスタイルをサポートするのに役立ちます。
  3. 栄養素の提供: 炭水化物は、繊維質、ビタミン、ミネラルなどの重要な栄養素を犬に提供することができます。
  4. 健康上の懸念: 一部の犬は穀物などの炭水化物に対してアレルギーや不耐性を示すことがあります。また、過剰な炭水化物の摂取は肥満や他の健康問題を引き起こす可能性があります。
  5. バランスの取れた食事: 犬の食事は、タンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルのバランスが取れていることが重要です。

結論として、犬の食事において炭水化物は「不要」とは一概に言えませんが、その量や種類は、犬の個々の健康状態、年齢、活動レベルに応じて慎重に考慮されるべきです。炭水化物を含む新しい食品を犬の食事に導入する際には、獣医師と相談することが最善です。

参考サイト:The canine nutritionistFEDIAF

犬に必要なカロリーと炭水化物の割合

犬に必要なカロリーと炭水化物の割合

炭水化物の取りすぎはダメですか?バランスよく食べる方法と注意点をチェックしてください。

犬の健康を維持する。そのためには、炭水化物のバランスを考えた食事が重要です。具体的には、以下に、バランスの取り方や犬に必要なエネルギー量やカロリーについて詳しく説明します。

犬のカロリー計算:DERとは?

犬の活動レベルに応じてエネルギー摂取量を調整します。アクティブな犬は多くのエネルギーを必要とします。そのため、通常の割合よりも多い量の炭水化物を提供することが大切です。低活動な犬や高齢犬はエネルギー摂取量を調整して過剰摂取を避けましょう。

では、「犬に必要なエネルギー量や適切なカロリーはどうやって計算したらいいの?」って思いませんか?実際に次の計算式で算出することができますのでご紹介します。

まずエネルギー量やカロリーを算出するにあたり、RERとDERがキーワードになります。犬の安静時のエネルギー必要量をRER(Rest Energy Requirement)といいます。

そしてDER(Daily Energy Requirement)とは、今の犬の状態での1日に必要なエネルギー要求量をいいます。今の状態とは体重・生活環境・運動量・年齢、妊娠中なのか否か、療養中か否かなどをいいます。これらを係数で表していて、それを活動係数といいます。

ですから犬の今の状態における必要なカロリー(DER)=RER×係数で計算します。

RERの計算式と活動係数

RER計算式は、70×(体重kg)0.75 です。実務的には電卓で、体重×体重×体重を計算します。その値に√(ルート)ボタン2回押します。さらにその値に70を掛けます。この値が安静時のエネルギー必要量(RER)です。

例えば、理想体重が10㎏とすれば10×10×10×=1000。この1000の状態で√(ルート)ボタンを2回押せば5.623です。5.623×70=394kcalと出ました。

次にこの値に活動係数を掛けます。活動係数はたくさんありますので別途掲載しますが、生後4ヶ月までの幼犬は3.0、生後4ヵ月から1年までは2.0、避妊・去勢をしていない1歳以上の成犬は1.8、避妊・去勢をしている成犬1.6、肥満傾向のある犬1.4などです。これらの該当する活動係数とRERを掛けたのがDERです。

DERから給餌量(ごはんの量)を求めます

先ほどの事例で避妊・去勢をしていない1歳以上の成犬でしたら、1.8(活動係数)をRERに掛けます。394kcal×1.8=709kcalと出ました。結果として、これが適正なカロリーです。

そこからさらに給餌量を算出するには、709kcalにペットフードの1gあたりのカロリーで割り算すれば必要なグラム数が出ます。仮にペットフードの1gあたりのカロリーが3.8kcalとすれば709÷3.8=186gです。186gの給餌(ごはん)が適正量だとわかります。

犬の摂取カロリー計算アプリ

上で示した計算式で1日の必要カロリーを求めることができますが、電卓が必要なので、計算アプリを掲載しました。

犬のカロリー計算フォーム

犬の炭水化物の割合

健康な犬には、繊維質の多い炭水化物が適しています。なぜならば、玄米や大麦、イモ類などは、炭水化物も含まれていますが、食物繊維も豊富だからです。これらの炭水化物は、血糖値の上昇を防ぎ、持続的なエネルギー供給をサポートします。

炭水化物の割合

炭水化物の割合としては、総摂取カロリーの約30%から50%程度が目安となります。 なお、これも犬の個々のニーズに合わせて調整する必要があります。 犬の活動レベルなどを考慮して、獣医師や家の専門的なアドバイスを得ることが大切です。

食事の継続性

犬に安定した食事習慣を提供することが重要です。なぜならば食事の内容や時間を一定にすることで、犬の体が正常に働くためのリズムが整うからです。手作りのペットフードは素材を吟味できる利点あります。そのかわり、栄養バランスの安定性と継続が難点です。

犬の体重管理

肥満の原因になるのは、実際のところ炭水化物の過剰摂取です。犬の体重を定期的にチェックし、必要に応じて食事量を調整する。そうすることで正しい体重管理を行いましょう。

体重を計らなくても肥満はわかります。例として、横から見てお腹が丸く垂れている。また上から見てウエストのくびれがないなどは太りすぎですから食事管理で修正しましょう。

犬の炭水化物のバランスは個々の犬に合わせて調整されるべきです。獣医師のアドバイスを受けつつ、愛犬の活動レベル、健康状態、年齢に適正な正しいバランスの炭水化物の摂取する。これらの条件によって、愛犬の元気な日々と健康状態の維持に貢献します。

炭水化物が犬の健康に影響する点とは

炭水化物の種類が健康に与える影響について詳しく説明します。

1. 血糖値の安定性

繊維質の多い炭水化物(玄米や大麦、イモ類、キャベツやレタス、白菜など)は血糖値の急激な上昇を回避します。急激な血糖値の変化は、犬の体にストレスを与えます。安定した血糖値は犬のエネルギーレベルを安定させます。

2. 腸内環境のサポート

繊維質を含む炭水化物は腸内環境をサポートし、消化と排便を助けます。正しい繊維質の摂取は便秘や下痢などの問題を軽減し、腸の健康を維持します。でも与えすぎは下痢や便秘の原因になるため注意が必要です。

3. 適正体重の維持

過剰な炭水化物の摂取は肥満のリスクを高めます。肥満は人と同じように犬も健康に悪影響を及ぼします。例えば関節や心臓への負担です。そのために、炭水化物の適切な量を考慮することが重要です。

総括すると、適切な炭水化物のバランスがとれた食事は犬の健康に多くの安定を与えます。 供給エネルギーや血糖値の安定、腸内環境のサポート、適正体重の維持など、犬の健康状態全体にとって重要な要素となります。獣医師や専門家のアドバイスを受けながら、愛犬に合った炭水化物のバランスを提供することが大切です。

まとめ

犬は技術的には炭水化物を必要としないとされていますが、炭水化物はエネルギー源として重要であり、ビタミン、ミネラル、繊維を提供します。これらは犬の全体的な健康と消化に役立ちます。

全粒穀物、野菜などの炭水化物は、白米、白パンなどよりも栄養価が高く、消化にも良いとされています。

犬によっては、穀物の炭水化物に対する耐性が異なります。アレルギーや特定の健康問題を抱える犬は、特定の炭水化物を避ける必要があります。

総合的には、多くの専門家はバランスの取れた食事が最も重要であると強調しています。炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルの適切な組み合わせが犬の健康をサポートします。

犬がドッグフードを食べないときのおすすめの対処法
ペットフードアドバイザー・ゆずりん

私が子どもの頃、犬を飼い始めたのはペットフードがまだ広く普及していない時代でした。その当時、私の近所では多くの人が犬にご飯に味噌汁をかけたものを食べさせていましたので、私もそれを見て同じようにしていました。しかし、その犬たちが短命だったのは、後になって理解したことですが、塩分の過剰摂取、タンパク質の不足、及び栄養バランスの不備が原因であったと考えられます。このような個人的な経験を通じて、ペットフードや犬の健康に関する知識を深めてきました。この知識を生かして、私は記事を書き、それをオンラインで共有しています。

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