犬にタンパク質は必要だと思っていますが、「実際にどのくらいのタンパク質量が必要なの?」このような疑問を持っていませんか?
実際に、タンパク質は、多くの重要な役割を担っています。成長、エネルギー維持、免疫機能のサポートなどです。そのために必須栄養素となっています。
もちろん、タンパク質だけ摂取すればいいわけではありません。犬の健康と幸福を支えるためには、バランスの取れた栄養摂取が優先です。
それでは、タンパク質の適切な摂取量について、詳しく見ていきましょう。
犬に必要なタンパク質の量はどれくらいですか?
米国飼料検査官協会(AAFCO)とNutritional Research Council (NRC) でのタンパク質摂取量は、それぞれ基準が違っていますので、これらについてご紹介します。
米国飼料検査官協会(AAFCO)のタンパク質基準
ペットのタンパク質欠乏症を防ぐために、米国飼料検査官協会(AAFCO)の栄養プロファイルでは、成犬の場合は最低タンパク質が 4.5 g/100 kcal、妊娠中および授乳中の犬と子犬では 5.63 g/100 kcal と定められています。
Nutritional Research Council (NRC) のタンパク質基準
Nutritional Research Council (NRC) は、生後 12 か月以上の成犬に対して、摂取 1,000 kcal あたりのタンパク質推奨量を最小20g、推奨許容量25gとしています。参考サイト:NRC 成犬の栄養要件
同じ単位に直してみますと、最低タンパク質の推奨量は、AAFCOでは、1000kcalあたり45g、NRCでは、20gとなりますから大きく隔たりがあります。
しかしながら、1000kcalあたり何グラムといっても、ピンとこないかと思いますので、体重別に修正してみました。
犬の体重別:タンパク質1日の必要量
AAFCOとNRC基準のガイドラインに従って、犬が1日に必要なカロリーから計算したのが下の表になります。避妊去勢した1歳以上の健康な成犬のタンパク質の最低量となっています。避妊去勢していない成犬の場合は、12%ほど割り増ししてください。
体重 | カロリー(1日) | AAFCO:1日のタンパク質 | NRC:1日のタンパク質 |
2kg | 188kcal | 8.5g | 3.8g |
3kg | 255kcal | 10.1g | 5.1g |
5kg | 374kcal | 16.8g | 7.5g |
7kg | 482kcal | 21.6g | 9.6g |
8kg | 533kcal | 23.9g | 10.6g |
10kg | 630kcal | 28.3g | 12.6g |
13kg | 766kcal | 34.5g | 15.3g |
15kg | 854kcal | 38.4g | 17.1g |
20kg | 1059kcal | 47.7g | 21.2g |
25kg | 1252kcal | 56.3g | 25.0g |
30kg | 1436kcal | 64.6g | 28.7g |
ドッグフードのタンパク質の割合
AAFCOのガイドラインによると、成犬の飼料は、ドライマター(乾物質)基準で最低18%のタンパク質を含む必要があります。 成長期の子犬や妊娠・授乳中の母犬の場合は、これが22%以上です。
これらの数値は、犬の食事が最低限満たすべきタンパク質の量を示していますが、多くのペットフードはこれらの最低基準を超える量のタンパク質を含んでいます。
従って、AAFCOのガイドラインを満たした総合栄養食のドッグフードを買い求めている場合には、タンパク質の不足については心配いりません。
ですが、自宅での手作り食となるとしっかりと計量して与えないとタンパク質不足となりますので注意が必要です。
ドッグフードのタンパク質の実態
タンパク質は、犬の年齢、体重、活動レベル、健康状態によって量が異なります。 たとえば、成長期の子犬や運動量の多い犬。彼らは、成犬よりも多くのタンパク質を必要とします。
犬の食事全体のタンパク質の割合。これらは、乾燥物質の約18%から25%程度が推奨されます。下のドッグフードの事例をご覧ください。たんぱく質の割合を見てみますと推奨年齢などにより異なっています。
下の画像は1歳以上の成犬用の保証成分です。タンパク質の成分は22.0%以上となっています。
![ドッグフードに記載されている保証成分の内訳(1歳以上の成犬用)](https://petfood-hub.com/wp-content/uploads/2023/08/保証成分-700-×-420-px.png)
次の画像は、1~12か月用の保証成分です。タンパク質は28.0%以上となっています。成長期の子犬のほうがタンパク質の量が多くなっています。
![ドッグフードに記載されている保証成分の内訳(1~12か月用)](https://petfood-hub.com/wp-content/uploads/2023/08/保証成分1-700-×-420-px.png)
さらには、タンパク質35%以上という高タンパクなドッグフードもあります。これは年齢層や活動レベルによっては肥満への近道となります。また腎臓、肝臓への負担となりますので、選ぶ際には注意が必要です。関連記事:高タンパクなドッグフードの記事
ドッグフードに使われているタンパク質の食材
一般的にドッグフードは、鶏肉以外に低カロリーの放し飼いのターキー(七面鳥)やアヒル肉のみを使用したものなどもあります。
また鶏肉不使用のラムや魚を中心としたもの。鹿肉を中心としたもの。さらに、マスやサーモン、ニシンなども販売されています。鹿肉入りドッグフードについてはこちらの記事をご覧ください。
犬のタンパク質不足はどうなる
犬の健康維持において、適切なタンパク質摂取は非常に重要です。タンパク質は、体の成長、修復、および正常な機能のために不可欠な栄養素です。
タンパク質は体に蓄えておけない
体に入ったタンパク質の一部は、アミノ酸へと分解され体の組織へ運ばれます。タンパク質はこのように常に分解されているので犬の体に蓄えておくことはできません。タンパク質が不足する。それに伴ってアミノ酸不足ともなります。それが体の機能が衰え免疫力や筋力の低下へとつながっていきます。
ですから、犬はタンパク質不足となると、様々な健康上の問題が生じてきます。
タンパク質不足の原因
犬のタンパク質不足は、主に不適切な食事によって引き起こされます。質の低いペットフード、不十分な食事量、または特定の健康状態による栄養素の吸収不良が原因となることがあります。
タンパク質不足による身体への影響
- 成長の遅れ: 特に子犬において、タンパク質不足は成長の遅れを引き起こす可能性があります。
- 筋肉量の減少: タンパク質は筋肉の主要な構成成分であるため、不足すると筋肉量が減少します。
- 免疫機能の低下: タンパク質は免疫系の重要な部分であり、不足すると免疫機能が低下する可能性があります。
- 皮膚と毛皮の健康問題:タンパク質は皮膚や毛皮の健康にも重要で、不足するとこれらの状態が悪化することがあります。
- 貧血: タンパク質は赤血球の生成にも関わるため、不足が貧血を引き起こすことがあります。
- 行動面での変化:タンパク質不足は、犬の行動にも影響を与えることがあります。エネルギー不足により活動レベルが低下したり、全般的な元気がなくなることがあります。
タンパク質不足の診断と治療
タンパク質不足の疑いがある場合、獣医師による診断が必要です。血液検査により栄養状態を評価し、適切な食事療法やサプリメントを用いて栄養バランスを改善します。
タンパク質不足の予防策
タンパク質不足を防ぐためには、バランスの取れた高品質の食事が重要です。犬の年齢、サイズ、活動レベルに合わせた適切な量のタンパク質を含む食事を提供することが必要です。
良質な食事の選択
市販のペットフードを選ぶ際は、タンパク質含有量と質に注目し、AAFCOのガイドラインに沿った製品を選ぶことが推奨されます。また、特定の健康状態にある犬のために、獣医師が推奨する特別な食事を選ぶことも重要です。
定期的な健康チェック
獣医師による定期的な健康チェックを受けることで、タンパク質不足やその他の栄養不足を早期に発見し、適切な対処が可能となります。
犬のタンパク質不足は、適切な栄養管理によって予防および治療が可能です。バランスの取れた食事と定期的な健康チェックが、愛犬の健康を維持するための鍵となります。
タンパク質が多い犬の食べ物
タンパク質は、肉類(鶏肉、牛肉、魚)、卵、大豆などが一般的です。 選ぶ際には、良質なタンパク質を犬に提供する食材を選びましょう。実際のところ、動物性タンパク質はアミノ酸が豊富です。犬にとって利用しやすい形態のアミノ酸を提供してくれます。
一般的なタンパク質の食べ物
- 鶏肉: 低脂肪で消化しやすく、多くのドッグフードに使用されています。
- 牛肉: 良質なタンパク質を提供し、鉄分も豊富です。
- 魚: オメガ3脂肪酸が豊富で、皮膚や毛の健康に良い影響を与えます。
- 卵: 高品質のタンパク質と栄養素を含み、多くの犬にとって安全です。
主な肉類のタンパク質の比較
食品名 | カロリー | タンパク質 | 重量 |
和牛もも赤肉生 | 176kcal | 21.3g | 100g |
ぶた肩赤肉生 | 114kcal | 20.9g | 100g |
にわとり親・胸皮なし生 | 113kcal | 24.4g | 100g |
にわとり若鳥・もも皮なし生 | 113kcal | 19.0g | 100g |
鹿・赤肉生 | 102kcal | 22.3g | 100g |
七面鳥皮なし生 | 99kcal | 23.5g | 100g |
あひる皮なし生 | 94kcal | 20.1g | 100g |
低カロリーで高タンパクな食品を選ぶのなら、鹿、七面鳥、あひるなどになります。
主な魚類のタンパク質の比較
食品名 | カロリー | タンパク質 | 重量(可食部) |
かつお・春獲り生 | 108kcal | 25.8g | 100g |
かつお・秋獲り生 | 150kcal | 25.0g | 100g |
まかじき生 | 107kcal | 23.1g | 100g |
紅鮭生 | 127kcal | 22.5g | 100g |
ぶり生 | 222kcal | 21.4g | 100g |
うるめいわし生 | 124kcal | 21.3g | 100g |
まいわし | 156kcal | 19.2g | 100g |
あゆ養殖生 | 138kcal | 17.8g | 100g |
うなぎ | 228kcal | 17.1g | 100g |
犬はタンパク質によるアレルギーを引き起こしやすい
タンパク質は犬にとってアレルゲンを含んでいることがあります。そのため、複数の動物性タンパク質で構成されているものは注意が必要です。
理由としては、アレルギーの発症(食物アレルギー)をしやすいからです。したがって心配なら単一の動物性タンパク質を使用したもの。あるいは魚を中心としたものなどを選ぶのも選択肢のひとつです。
まとめ
タンパク質の必要量の基準は、米国飼料検査官協会(AAFCO)とNRCのガイドラインがあります。それぞれの基準が異なっています。AAFCOでは、成犬の場合は最低タンパク質が 4.5 g/100 kcal。NRCでは、生後 12 か月以上の成犬に対して、摂取 1,000 kcal あたりのタンパク質推奨量を最小20g、推奨許容量25gとしています。
総合栄養食のドッグフードにおいては、AAFCOのガイドラインに沿って製造してる製品は、タンパク質の不足になることはありませんが、手作りの場合は、タンパク質不足となる可能性がありますので、注意が必要です。
タンパク質不足は、子犬においては、タンパク質不足は成長の遅れを引き起こしたり、筋肉量が減少、免疫力の低下などにつながりますので十分注意しましょう。